うつ病の診断セルフチェック判定テストを行い、症状の解説も具体的にしていますので、あなたのメンタルケアにお役立てください。
うつ病セルフチェック(20項目)
下記の質問に「そう思う」と感じたらチェックを入れてください。最後にチェックを入れた数を数えてください。
判定方法
チェックが「3個以下」なら:比較的安定していますが、ストレスには注意しましょう。
チェックが「4~9個」なら:軽度の注意が必要です。休養や生活改善を心がけましょう。改善には「不安症うつ病クリア」を参考にしてみてください。
チェックが「10個~14個」なら:中程度以上の可能性があります。無理せず専門医に相談してください。そして回復に役立つヒントをまとめた 「不安症うつ病クリア」をご活用ください。
チェックが「15個以上」なら:強い症状があるかもしれません。早めに専門医の診断を受けましょう。あわせて 「不安症うつ病クリア」を参考にしてみてください。
うつ病の具体的な症状を解説
うつ病という言葉はよく耳にするけれど、実際にどんな症状があるのかを詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。
単なる「気分の落ち込み」とは違って、体の調子や考え方、人との関わり方にも大きな影響を与えるのがうつ病です。
ここでは、患者さん本人やご家族が「なるほど」と思えるように、わかりやすく説明していきます。
1. 気分が重く沈む : 心の天気がずっと曇り空
うつ病の代表的な症状は「気分の落ち込み」です。誰にでも気分が沈む日はありますが、うつ病の場合、その状態が何日も、あるいは何週間も続いてしまいます。まるで心の空がずっと曇りや雨模様で、晴れ間がなかなか訪れないような感覚です。
例えば、普段なら「今日は気分転換に散歩しようかな」と思えるところが、うつ病になると「どうせ行っても楽しくない」と考えてしまい、外に出る気力が湧きません。気分が下がっていることを自覚しているのに、自分の力では持ち上げられないのです。
2. 興味や喜びがなくなる : 大好きな料理の味がしない
もう一つ大きな特徴が「楽しみを感じられなくなる」ことです。これを専門的には「興味・喜びの喪失」といいます。
例えば、以前は音楽を聴けばワクワクした人が、今はただの雑音のように感じる。大好きな料理を食べても「おいしい」という感覚が薄く、味がぼんやりしてしまう。まるでカラーテレビが急にモノクロになってしまったかのように、世界の鮮やかさが失われてしまいます。
3. 思考がネガティブになる : 小さな失敗が大きな絶望に
うつ病では考え方にも変化が現れます。小さな出来事を必要以上に悪い方向にとらえてしまうのです。
たとえば、会社で上司に少し注意をされたとき、健康なときなら「次は気をつけよう」で済む話です。しかしうつ病のときは「自分はダメな人間だ」「もうこの職場には必要とされていない」と極端に考えてしまうのです。
これは、心の中の「拡声器」が悪い言葉だけを大きくしてしまうような状態です。
4. 体の不調 : 心の病気なのに体が重くなる
心の不調は体にも現れます。うつ病の人は「体が鉛のように重い」と感じることがあります。朝起き上がるのがとてもつらく、布団から出るだけでも大仕事のように思えてしまいます。
また、食欲が落ちて体重が減ったり、逆に食べすぎて太ってしまったりすることもあります。睡眠の乱れもよく見られます。夜眠れない「不眠」だけでなく、逆に昼間もずっと眠ってしまう「過眠」になる人もいます。
「心の病気」と聞くと精神面だけと思われがちですが、実際には体全体に大きな影響が出るのです。
5. 集中力や記憶力の低下 : 本の1ページが読めない
うつ病では頭の働きも鈍くなります。集中力が落ちて、簡単なことがうまくできなくなるのです。
例えば、以前なら小説を1時間夢中で読めた人が、今は1ページ読むのにも時間がかかり、何を読んだのかすぐに忘れてしまう。仕事の資料を読んでも内容が頭に入らず、「自分は頭が悪くなったのでは」と不安になる方もいます。
これは知能が下がったわけではなく、病気によって「頭のエネルギー」が不足している状態なのです。
6. 自分を責める気持ちが強くなる : 必要以上の罪悪感
うつ病になると、自分を過剰に責める気持ちが出てきます。「家族に迷惑をかけている」「自分の存在は価値がない」といった考えが浮かびやすくなります。実際にはそんなことはないのに、心のレンズが曇ってしまい、悪い方向にしか映らなくなるのです。
これは本人にとって非常につらい状態で、周囲の励ましの言葉もなかなか届きません。家族が「そんなことないよ」と言っても、患者さん自身の心の耳が塞がれてしまっているのです。
7. 未来が見えなくなる : トンネルの出口が見つからない
うつ病が深くなると、「この状態が一生続くのではないか」という絶望感に襲われることがあります。まるで長い暗いトンネルの中にいて、出口の光がまったく見えない感覚です。
こうしたときに「生きていても意味がない」と思ってしまう方も少なくありません。この状態はとても危険ですので、家族や周囲が気づいたら早めに医師や専門機関に相談することが大切です。
8. 周囲からは「怠けている」と誤解されやすい
うつ病の症状は外から見ると「ただ元気がない」「やる気がない」ように見えることがあります。そのため周囲の人が「気合が足りないだけ」「休めば治る」と誤解してしまうこともあります。
しかし実際には、心と体のエネルギーが大幅に減ってしまっている状態です。スマホで言えば、バッテリー残量が1%しかなく、どんなに頑張っても動かないようなものです。本人の努力不足ではありません。
9. 症状の波 : 良い日と悪い日を繰り返す
うつ病は「常に同じ症状」というわけではありません。ある日は少し元気が出て外出できても、翌日は全く動けなくなることもあります。この波があることで、本人も家族も混乱しがちです。
「昨日はできたのに、今日はできないのは怠けているからだ」と考えるのは誤解です。病気の特徴として、波があるのだと理解しておくことが大切です。
10. ご家族へ : 理解と支えが大きな力になる
うつ病の症状をここまで紹介しましたが、患者さん自身が「自分は病気だ」と気づくのは簡単ではありません。気分の落ち込みや体の不調を「自分の弱さ」と考えてしまうことも多いのです。
だからこそ、ご家族が「これは病気の症状なんだ」と理解してあげることが、何よりの支えになります。温かく見守りつつ、必要なときには専門医への受診を一緒に勧めてあげてください。
まとめ
うつ病の症状は、気分の落ち込みだけではありません。
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喜びを感じられない
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考え方がネガティブになる
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体が重くなる
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集中力や記憶力が落ちる
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自分を責めすぎてしまう
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未来が見えなくなる
こうした症状が重なって、患者さんは日常生活を送ること自体が難しくなってしまいます。
しかし、うつ病は「治療できる病気」です。心のトンネルにも必ず出口はあります。周囲の理解とサポート、そして専門的な治療によって、少しずつ回復していくことができます。
どうか「気持ちの問題」ではなく「病気の症状」であることを覚えていただき、本人もご家族も自分を責めずに過ごしていただければと思います。