発達障害の種類と特徴の比較解説【ADHD・ASD・併発型・LD・アスペルガーの違い】

発達障害という言葉を聞くと、「自分はどこに当てはまるのだろう」「この生きづらさの正体は何なのだろう」と、不安や戸惑いがこみ上げてくることがあります。

一つひとつの名前に振り回されるのではなく、まずは“あなたのしんどさ”を丁寧に見つめることが大切です。

ここでは、発達障害のADHD・ASD・ADHD+ASDの併発型・LD・アスペルガー、それぞれの違いや特徴を、やさしく分かりやすく比較・整理しながら、少しでも心が軽くなる方法をお伝えしていきます。


 

発達障害の関係性と分類

まず、「発達障害」という言葉は、以下の4種類を総称で呼ぶときに使う言葉です。ですので、「発達障害」という大きな枠の中に、以下の4つが存在するということです。

①ASD自閉スペクトラム症(旧称:アスペルガー症候群)

②ADHD注意欠如・多動症

③ADHD+ASDの併発型

④LD学習障害・学習症

 

わかりやすい分類表

まずは、それぞれの種類の特性を大まかに比較してみましょう。

種類 主な困りごと 得意な面
ASD 人間関係・空気読み・こだわり・感覚過敏 専門分野への集中、論理性、精密さ
ADHD 注意散漫・ミス・衝動性・多動性 直感、スピード、柔軟性、ひらめき
ADHD+ASDの併発型 両方の困りごとが重なり疲れやすい 深い専門性+柔軟な発想という強み
LD学習障害 読む・書く・計算の特定分野の困難 思考力そのものは正常、創造性・感性が豊か

 

 

それでは、ここから種類別に特徴を詳しく見ていきましょう。

 


1:ASD(自閉スペクトラム症)→旧称:アスペルガー症候群

ASDは「対人・コミュニケーション・こだわり・感覚の特性」が中心となる発達特性です。人によって重さも出方も大きく違う“スペクトラム(連続性)”があります。

【主な特徴】

■ コミュニケーションの独特さ

・相手の表情、仕草、空気を読むことが苦手
・「暗黙の了解」「言わなくても察する」を理解しにくい
・雑談が負担、目的がはっきりしている会話は得意なことも多い
・言葉を文字通り受け取りやすい

■ 人間関係の難しさ

・大勢より1対1が楽
・グループの微妙な関係性が把握しにくい
・社交性の波(得意な場面/極端に苦手な場面)がある

■ こだわり・ルーティンの強さ

・予定変更、曖昧な物事が苦手
・自分のやり方が変えにくい
・同じ手順が安心できる
・興味がある分野では“異常な集中力(ハイパーフォーカス)”が出る

■ 感覚過敏/鈍麻

・音、光、匂い、触覚に敏感
・一部の音が「頭に刺さる」ように感じる
・人混みや雑音で極端に疲れる
・逆に痛みに鈍い人もいる

■ 得意分野

・細部への注意
・規則性、パターン認識
・論理的思考
・専門分野への深い集中

 

※ASD自閉スペクトラム症(旧称:アスペルガー症候群)の、より詳しい判定チェックや治し方などは以下のページをご覧ください。

ASD自閉スペクトラム症の症状・原因・治し方【判定チェック】

 


 

2:ADHD(注意欠如・多動症)

ADHDは「注意」「集中」「多動性」「衝動性」の特性が中心で、以下の3タイプがあります。

・不注意優勢タイプ(大人に最も多い)
・多動、衝動優勢タイプ
・混合型

 

【主な特徴】

■ 不注意(注意のコントロールが難しい)

・やるべきことほど集中できない
・忘れ物、ミスが多い
・話を聞きながら別のことを考えてしまう
・単調作業がとにかく苦痛
・締め切りギリギリにしか動けない

■ 多動性(内面の落ち着かなさ)

・身体がそわそわ、じっとできない
・会議、授業で座っていられない
・大人では「内心が落ち着かない」形で表れやすい

■ 衝動性

・思ったことをすぐ口に出す
・衝動買いして後悔
・行動が先、考えるのはあとになりがち
・カッとなると冷静になりにくい

■ 得意分野

・直感、スピード重視の仕事
・新しいものへの適応
・ひらめき
・人との距離を縮める能力(社交性が高い人も多い)

 

※ADHD(注意欠如・多動症)の、より詳しい判定チェックや治し方などは以下のページをご覧ください。

ADHD発達障害の症状・原因・治し方【判定チェック】

 


 

3:ADHD+ASDの併発型

実はこのタイプがかなり多く、研究では3~5割が併発型と言われます。「どっちの特性なのか分かりにくい」のがポイントです。

【主な特徴】

■ ASD 由来

・人の感情や空気を読むのが苦手
・変化に弱く、予定が乱れると不安
・こだわりが強い
・感覚過敏で疲れやすい

■ ADHD 由来

・注意が飛ぶ、集中が切れる
・衝動性
・片付けが苦手
・計画的に動けない

■ 両方あるとどうなる?

・こだわりは強いのに注意力が続かない
・人間関係で誤解されやすい(ASDの特性+衝動的な言動)
・物事を頭で理解していても行動が伴わない
・感覚過敏があるのに刺激を求めて動きすぎる
・疲労しやすく、ストレス耐性も低下しやすい

■ 併発型の強み

・興味分野では圧倒的集中力
・企画力、アイデア力
・深い専門性と発想力を両立できる
・独自の視点での問題解決

 

※ADHD+ASD併発型の、より詳しい判定チェックや治し方などは以下のページをご覧ください。

ADHD+ASD併発型の症状・原因・治し方【判定チェック】

 


 

4:LD(学習障害・学習症)

LDは知能は正常なのに、学習の特定の分野だけに強い困難が出るタイプで、以下のように大きく3パターンがあります。

・読字障害(ディスレクシア)→ 文字を読むのが極端に苦手

・書字表出障害(ディスグラフィア)→ 書く力に困難(漢字が覚えられない、文章が組み立てられない)

・算数障害(ディスカリキュリア)→ 数や計算の概念が理解しづらい

 

【主な特徴】

・読むスピードが極端に遅い
・読むと内容が頭に入らない
・図形や文章問題が理解しにくい
・漢字が何度書いても覚えられない
・数字を扱うと混乱する
・課題は“頭では理解できるのに”点数だけ取れない

■ LDのポイント

・「怠けている」と誤解されやすい
・本人の努力では克服しにくい
・早く気づけば対処法(ICT・補助)が効果的
・知能や才能とは関係ない(むしろ頭の良い人も多い)

 

※LD(学習障害・学習症)の、より詳しい判定チェックや治し方などは以下のページをご覧ください。

LD学習障害の症状・原因・治し方【判定チェック】

 


 

発達障害は治すべきか・活かす道に進むべきか

「発達障害は治すべきなのか、それとも活かす道を探すほうがいいのか」と悩んでいるあなたは、とても真面目で、丁寧に自分と向き合おうとしている人だと思います。

まず、その姿勢そのものが尊くて、誰よりも自分を大切にしようとする心の表れです。

この悩みは、多くの人が一度は通る道です。“治したい”という気持ちも、“このままでもいいのかな”という気持ちも、どちらも自然なものです。どちらかが正解で、どちらかが間違いということはありません。

大切なのは、「いまの自分の苦しさ」も「いまの自分の良さ」も、両方きちんと見つめること。

そのためにも、焦らず、まずは気持ちを整えるところから始めて大丈夫です。あなたのペースで少しずつ進めばいいのです。

 

“治す”という言葉に縛られすぎなくていい

発達障害という言葉を聞くと、多くの人が「治さなければならないもの」と誤解しがちです。もちろん、困りごとがあるなら、環境調整やスキルの習得で楽にできる部分はたくさんあります。

でも、それは“治す”というより、「生きやすくする」「つまずく部分をサポートする」というニュアンスに近いものです。

例えば、注意が散ってしまいやすい人の場合、タスク管理ツールを使ったり、机の配置を変えたりするだけで格段に楽になります。これは“治した”のではなく、環境に合わせた“工夫”です。

それと同じように、「治すか」「活かすか」という二択ではなく、「困りごとは減らし、自分らしさは残す」という第三の道があるのです。あなたが無理に誰かの形になる必要はありません。

 

“活かす”という道は特別な人向けではない

「発達特性を活かす」と聞くと、“才能がある人だけの話では?”と思うかもしれません。ですが、決してそんなことはありません。

例えば、興味があることに深く没頭できる人は、それだけで大きな強みです。趣味の延長から副業につながる人もいますし、細かいこだわりが品質を高める仕事に向く人もいます。一見「弱点」に見える部分が、ある環境に入った瞬間「宝石」に変わることもあります。

逆に、どれだけ才能があっても、苦手を抱えたままだと生きづらいこともあるため、「活かす」と「整える」は両方あって良いのです。

あなたにも、まだ気づいていないだけで、確実に“光る部分”があります。

 

苦しさが強いときは、まず癒しを優先していい

もし今、心が疲れているなら、「自分のあり方」や「進む道」を決める必要はありません。混乱しているときに進路を決めるのは、とてもエネルギーが要ることです。

例えば、夜中に不安が強くなるような時、“私はどちらを選ぶべきなんだろう”と考えても、余計に心が追い詰められるだけです。そんなときは、決めることよりも、心と体を休めることが優先でいいのです。

悩んでいるあなたは、すでに十分がんばっています。そのことに気づかないほど、日々必死に生きているはずです。

だからこそ、今は一度立ち止まり、「私はよくやっている」と認めてあげてください。

 

他人の基準ではなく、自分の基準で選んでいい

社会には、「こうあるべき」「こうできる人が普通」という空気があります。でも、その“普通”は誰が決めたのでしょうか。

あなたが生きやすい形を選ぶことのほうが、何倍も大切です。

例えば、周囲が「治したほうがいいよ」と言ったとしても、あなたが苦しくなる方法なら無理をする必要はありません。反対に、あなたが「もう少し楽になりたい」と思うなら、サポートを受けてもいい。

人生は、誰かの期待を叶えるためにあるわけではありません。迷っている心の中で、一番小さくて、一番素直な声がありませんか?

その声こそ、あなたが進むべき方向を静かに示してくれるものです。

 

ゆっくり、あなたのペースで見つけていけばいい

“治すべきか”も“活かすべきか”も、急いで答えを出す必要はありません。人生の方向性は、一瞬のひらめきで決まるものではなく、日々の気づきや経験の中で少しずつ形が見えてくるものです。

だから、「今はまだわからない」という状態も、立派な“途中経過”です。あなたが丁寧に迷っているからこそ、きっと自分に合った道にたどり着けます。焦らず、あなたの歩幅で確かめながら進んでください。

あなたがどんな道を選んでも、それはあなたがあなたの人生を真剣に生きようとした証です。そして、その選択を尊重してくれる人は、必ずどこかにいます。


 

最後に:希望のメッセージです

ここまで特性の違いを丁寧に見つめてきましたが、どうか忘れないでほしいのは、あなたの人生は「特性」だけで決まるものではないということです。

生きづらさの背景には、それぞれの理由があり、どの特性にも必ず強みと可能性があります。あなたがこれまで頑張ってきたことも、乗り越えてきた日々も、すべて確かにあなたの力です。

理解を深めることは「欠点探し」ではなく、これから自分らしく生きるための地図を手に入れる作業です。

今日から、あなたは少しずつでも前に進めます。

どうか、自分の未来に希望を持ってください。

あなたには、まだまだ取り戻せるものがたくさんあります。

 

重要:ADHDの症状・原因・治し方【判定チェック】
重要:ASD自閉スペクトラム症の症状・原因・治し方【判定チェック】
重要:ADHD+ASD併発型の症状・原因・治し方【判定チェック】
重要:LD学習障害の症状・原因・治し方【判定チェック】

 

 

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